●いい調子で走れてたのに…。
●あそこで脚がつらなきゃ自己ベストが出てたかも…。
●どんな対策をしても結局つってしまう…。
たくさんつって嬉しいのは魚釣りくらいなもので、脚がつる人にとってこの”攣り”は大きな悩みである。なぜ脚がつるのか?どうしたら回避できるのか?
わかっていれば苦労しないわけではあるが、少し深彫りしてその原因と対策を考えてみたい。
脚がつる!主な6つの原因って?
一般的に言われている原因としては、次のようなものがあげられる。厄介なのは、それぞれが独立して起こるというよりも複雑に絡み合って起こることであり、その分だけ対策を困難なものとしている。
1.筋力不足
挑んでいる距離やペースに対応できるだけの筋力が備わっていないのに、無理な走りをすることで筋肉が悲鳴を上げるケースと、オーバートレーニングなどで筋疲労がピークになっている状態で走ることに起因するものもある。
100馬力のエンジンを積んだ車で、120馬力の力を出そうとしても無理なことで、当然負荷が強すぎて故障してしまうということだ。
2.筋疲労や筋肉の損傷による神経伝達の障害
長時間、動き続ける中で筋疲労や筋繊維の損傷(筋肉痛)は起きている。筋肉も正常な状態を保てなければ、本来の働きができなくなる。次に紹介する水分・電解質バランスとも通ずるものだ。
自分では走ろうとしているのに脚がいうことを聞かないなど、制御不能の状態ともいえるだろう。いつも同じくらいの距離でつってしまう場合、そこが自らの現時点における脚筋力の限界だと考えるとわかりやすいだろう。
3.水分不足・電解質バランスの異常
私たちの身体のなかで水分は、体温調節、酸素や栄養素の運搬、二酸化炭素や老廃物の運搬、代謝の4つの働きを担っている。
そのような重要な役割があり、かつ体内において約60%をも占める水分が減ってしまうと、いろんな不具合が出てくることは容易に想像がつく。
また、細胞外液(ナトリウム)と細胞内液(カリウム)が浸透圧を一定に保っている。それらの電解質のバランスが崩れると、神経伝達や筋肉の収縮にも影響があることがわかっている。
特に、脚つりとの関係で言うと、カリウム、マグネシウム、カルシウムが筋肉の収縮に深く関わっているので、流出が多ければ脚つりに繋がってしまう。
4.脳から脚の末梢神経への信号伝達障害
走るときに私たちは汗をかく。これは、生み出される大量エネルギーによって体温が上昇しすぎないよう、汗を放出することで体温を一定に保つ人間に備わっているメカニズムだ。
しかし、身体から水分が失われると同時に血液量も減り、結果として血圧が下がる。特に、マラソン中は脚や腰に血流が集中することで、消化器や脳への血流も少なくなってしまう。
脳への血流が減ると、栄養素や酸素が十分に行き渡らなくなり、手や脚への指示系統にも異常をきたすことから、自らの意思でコントロール不能となりつってしまう。
5.ランニングフォーム
いつも同じ場所がつる!というランナーは、ランニングフォームにも問題があるかもしれない。重心バランス、左右バランスに偏りがないか?チェックしてみることも必要だと思うし、意外に盲点だったりする。
また、体幹がうまく使えてなく脚だけで走っているランニングフォームだと、ふくらはぎなど脚への負担が大きくなりつりやすいといえるのではないかと思う。
6.冷えや暑さなど
寒い時期は、脚の筋肉が冷えて血流が悪くなり、逆に暑い時期は脱水による水分不足・電解質異常でつりやすくなるということで、気候にも左右される部分も否定できない。
*余談だが、就寝中のこむら返りについても補足。睡眠時は脱水傾向にあること、ほとんど動かないため心拍数も血圧も低下している。また布団からはみ出して?脚が冷えたりすることも血行を悪化させる。そのような状態で、寝返りや脚をピーンと伸ばしたり筋肉に急激な刺激を与えると…
もうお分かりだろう。
脚つりを予防するにはどうしたらいい?
よくつる人は、いろんな対策をしていると思う。しかしながら、上述したような原因が複雑に絡み合って起こることが多いため、ひとつだけ対策を講じてもうまく奏功しない部分もあるだろう。
①②でいうと、少しでも鍛えて筋力アップを行うことで攣るまでの距離などは延長できるかもしれない。
⑥はランナーサイドではウェア程度しかコントロールできない。
⑤は、体幹主導で脚への負担を最小限にするランニングフォームを習得するしかない。
かなり強引な消去法だが、レース中に出来ること、ある程度意識してコントロール出来るのは③④であり、水分・ミネラル補給をいかに効率よくしてバランスが乱れるのを防ぐか?だと個人的には思う。
私自身は、脱水症状にはよく見舞われるが脚がつったことはない。ウルトラマラソンでも脚つりはこれまで皆無だ。
ということは、筋力やランニングフォームには問題ないが、水分・ミネラルバランスに問題があるということに帰結するのだ。
脱水とも表裏一体なところもあり、自分の勉強を含めそのあたりの対策をもう少し詳しく見てみたい。
脚つりに有効な水分・ミネラル補給のポイントとは?
筋疲労の軽減効果などを考えるとBCAAも摂ったほうがいいと思う
水分補給といっても、水やお茶の補給でいいのは30分~1時間以内くらいの運動時の話だ。暑い時期であれば、30分くらいが限界だろうか?
それ以上のランニングでは、スポドリやOS1などミネラル補充が出来る飲料を摂取しながら走ることが必須だと思う。スポドリの甘さも吸収しやすくしてくれるためのありがたいものであるが、それが苦手な人も多いだろう。
水を飲むときは、同時に塩熱サプリや塩飴、ダイレクトに塩、うめぼしなどを一緒に摂るように心掛けたい。また、脚つりに効果ありそうなサプリとしても、マグネシウムサプリなどいろんな製品が発売されているので、それも上手に摂るといいかもしれない。
王道はやはり塩熱サプリだろうか?私は脱水防止で必ず携帯している
試したことはないが、マグネシウムとカルシウムが同時に補給可能なサプリメントもある
スポドリが苦手で、水メインで給水している人が意外に多いもの。特に、汗かきのひとは注意しておきたいポイントだ。脚がつる前に脱水症状で走れなくなるリスクも高い。
また、黒や紺など濃色のシャツを着ているときに汗が白くシミになる人はより注意が必要だ。水分流出に占めるミネラル流出比率が高い低張性脱水のタイプであり、しっかりミネラル補給しておかないと・・・
つりやすいはずだ。
釣りで言えば、爆釣ポイントど真ん中のようなものなので、特に意識すべきだろう。
エイドで出来るつり対策は?
マラソンのエイドに大抵用意されているものといえば、バナナがある。すぐにエネルギーになるから…という理由以外にもその必要性は大きい。
よく言われるように、走るためのエネルギーは糖質と脂質である。しかし、この2つがエネルギーを産生するためには、ビタミンB群(糖質の代謝にはビタミンB1が、脂質の代謝にはビタミンB2がそれぞれ働く)が必要となる。
ビタミンB群が不足していると、エネルギーが産生されにくいばかりでなく、エネルギー代謝過程で乳酸が増えてしまい筋肉内のpHが崩れ、筋肉が異常収縮する。すなわち脚がつるのだ。
バナナの豊富な栄養価はこちら↓
参考URL: http://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/fruit/Banana3.htm
ビタミンB群をはじめ、ミネラル、アミノ酸に至るまで、マラソンの際に必要とされる栄養素がたくさん入っているのがお分かりいただけるだろう。
だから、エイドに置いてあるのかと妙に納得してしまうが、好き嫌いに関わらず口に入れて走ったほうが良さそうだ。
どうしても固形物が食べられない、バナナが苦手だという方は、サプリメントの摂取も考慮する必要があるかもしれない。
ビタミンB群は、糖質・脂質・タンパク質の代謝に欠かせない働きをするのと同時に、それぞれがチームプレイを発揮するビタミン群であるため、ビタミンB1、B2だけというように単独で摂取するよりも8種類すべて入ったものがいいらしい。
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脚つり対策のまとめ
つってしまったらコレ。効く人は常備しておくといい。私はつらないがつった人のために常備している
考えられる原因や対策について、あくまでも個人的な見解やネットに散らばっている情報をまとめてみた。これらの情報をどう活用するかが大切なことだと思う。
自分の脚がつるのは、どの原因に近いのか?予測を立てて検証してみることだ。何事も仮説と検証を繰り返して、求める結果を導いていくプロセスは大切である。
そして、当日だけの対策に頼らないこと。最低でもレース1、2週間前からは意識して必要な栄養素を摂取するなど事前の対策を怠らないことだ。そう簡単に人間の身体は瞬時に変わらないのだ。
レース中につってしまう…あの悪夢から逃れられるかどうかはわからないが、改善される可能性があることは努力して行うべきだろう。
複合的に原因が絡み合うことも思慮すれば、筋トレや適切な練習、ランニングフォームのチェックもしっかりとやることで、最大のパフォーマンスを発揮できる自分に近づけるはず。
私はつらないので、痛みを共有できないが何かひとつでも役に立つものがあれば幸いだ。
*なお、芍薬甘草湯など医薬品の使用については、ドラックストアなどにある一般の医薬品よりも病院で医師が処方する医療用医薬品のほうが何倍も効力が高く、かつ薬代だけで比較すると何倍も安い。出来る限り病院で処方してもらうことをおすすめする。
病院に行かない方はコレ↓
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