走っているとムカムカして気分が悪い、吐き気が止まらない、吐く、、、etc。とてもマラソンに集中できる状況ではないし下手したら完走も危うくなる重大なトラブルだ。どうすれば対処できるのだろうか?
どんな胃腸障害がある?
代表的な胃腸障害としては、吐き気や嘔吐、ムカムカする逆流性食道炎、胃炎、胃潰瘍による諸症状などがある。
私個人では、フルマラソンではほとんど何も起きないが100㎞以上のウルトラマラソンでは、ガスがたまってカエルのような腹になり腹部膨満感を感じたりすることが多い。
給水や給食にも直結する部位だけに、症状が強いと十分な水分や栄養補給ができず危険な状況に陥るリスクもあるので、仮説を立ててできる対策をいろいろと検証してみる必要がある。
では、まずなぜ胃腸症状が出現するのか?そのメカニズムから考えてみよう。
胃腸トラブルの原因とは?
やはり、よく言われるようにマラソン中は全身の血液の多くが脚や腰の筋肉に動員されることにより、胃腸など内臓への血流が減ることが最も大きな要因だと考えられる。
当然、虚血状態の胃に食べ物や飲み物がたくさん入ってきても十分に消化できないし、消化されないことから吐き気なども誘引されていると思われる。
また、何時間も体を揺らして走っていることで内臓も揺れてしまうことから急性胃炎のような状態になっているケースもあるらしい。
一説によると、ウルトラマラソンをゴールしたランナーの90%近くに胃潰瘍や出血が少なからず認められるというデータや、痛み止めなどの薬を飲むと吐き気が増すという報告もあるようだが、どれもエビデンスは不明確だ。
もともと健康のために始めた方が多いはずだが、やりすぎると体に悪いということか?(笑)
試してみる価値あり!?5つの秘策とは?
胃腸トラブルを抑える対策① 胃薬を服用する
すでに薬を飲んでいる人では併用禁忌などに注意、普段飲んでない方も服用に対する問題がないのであれば、胃腸薬を飲むのが最も手っ取り早い対策だろう。効果の強さや安全性の観点から、できれば医師の処方により入手したい。
胃薬もその作用機序によりいろんな種類があるが、プロトンポンプインヒビターやH2ブロッカーなどをレース前に飲むといいだろう。
胃腸トラブルを抑える対策② ナトリウムの摂取
マラソンは大量の汗をかく。その結果、汗とともにナトリウムなどの電解質も一緒に失うこととなる。私たちの身体を一定の状態に保つ働きをする電解質が減ることで様々な異常が出てくることは容易に想像できる。
特に、ナトリウムの電解質流失に対して、水だけの給水や不十分な塩分補給をしていると体の水分量とナトリウムのバランスが崩れる。すなわち低ナトリウム血症となることで、食欲不振や吐き気・嘔吐などの症状を誘発することがある。
塩熱サプリなどの摂取がバランスも良く間違いないと思うので、私自身は必ず携行して10㎞ごとに補給している。
また、はちみつにもナトリウムは含まれているので糖分も摂れてこんなキャンディーもいいと思う。
ポピュラーな塩飴も。
胃腸トラブルを抑える対策③ 体幹トレーニング
胃腸が長時間揺さぶられることも直接原因になりうるケースもあるだろう。体幹を鍛えて内臓の位置固定を強くすることで少しでも揺れを抑えるということだ。
個人的には、プランクなどが簡単かつ効果的でいいのではないかと考えている。
これが出来るようになれば完璧だと思う。
胃腸トラブルを抑える対策④ 常温を心がける
エイドなどで冷たいスポドリをグビッと飲むのも気持ちいいものだ。ただし胃腸が弱い自覚がある方は、なるべく常温で飲むことを心がけたいところだ。
冷たいものを一気飲みすること自体も胃腸への負担が大きいため、冷たいものしかなければいったん口の中で温めてから飲み込むなど工夫すべきだろう。
胃腸トラブルを抑える対策⑤ 食べながラン
これは、日頃から走る前に何か食べる、あるいは走っている途中で何か食べるという練習であり、勝手に食べながランと命名している。実際にこれをやって、レース中食べれなかったのが食べれるようになったというケースもあるので試してみる価値はあるだろう。
方法は、3kmとか5kmとかあらかじめ決めた距離、あるいは20分、30分などと時間を決めて、間に固形物などを食べてまた走る。それを繰返すだけだ。走っているときでも食事をすることを自分の脳に覚えさせ、血液を胃腸に流す回路を新設しようという作戦だ。
理屈があっているかどうか科学的な根拠はないが、そんなところだろうと…。
快適なマラソンを!
熱中症?脱水による下痢で干上がったことがある私… 2014しまなみ海道100kmウルトラ遠足にて
5つの対策を紹介したが、マラソン当日の体調、気温や湿度、風の有無など気象条件によっても身体のコンディションは大きく左右される。それゆえ、対策を講じても功を奏さないケースもあるが、根気強くいろんな実験をしてみることが大切だ。
自分の胃腸トラブルの原因を突き止め、それに対処することでレース中の不快な症状から逃れることができる可能性は出てくる。トラブルなく集中して走れるようになためであれば、それは決して苦にはならないだろう。
そして、可能であればレース本番ではなく、練習の時にトラブルの原因について仮説を立て対策を講じて検証してみること。本番での失敗は取り返しがつかない時もあるが、練習ならいくらでも失敗していいし、原因追及に近づいていくのだから。
コメント